なぜか、懐かしい。ふしぎに、あたたかい。
銀座木村家のあんぱんの秘密は日本人になじみの深い『酒種(さかだね)』生地にあります。140余年前にイースト菌ではなく酒の酵母から、日本で初めてつくられた新しいおいしさ。以来、その確かな技術と伝統は、そのまま今日の製品づくりに生かされております。
明治7年に開発された酒種(さかだね)あんぱんを受け継いで140年以上、酒種発酵種は代々酒種を守る種師に受け継がれてきております。酒種は米、麹、水から出来ており、あんぱんに最適な材料とは何か。工程とは何か。酒種をどのように伝承していくのか、社内で数名集って酒種伝承会議を開催して産地、品種等の原材料の選定から作り方まで、常に試作と試食を繰り返し、もっともおいしいあんぱんを探求し続けております。 酒種とは米と麹と水から作られた発酵種です。正式には酒種酵母菌のことを言い、米食文化である日本独特の酵母です。日本では古来から、日本酒を造る時の発酵源として使われています。
イーストも酒種も同じ酵母と言う仲間ですが、増殖するために栄養源として食べるものが違います。一般に市販されているイーストは、砂糖を製造する過程でできる糖蜜を栄養源として化学的に管理された機械ラインで大量に製造されます。一方、上記のように米と麹と水から作られた発酵種である酒種は米を栄養源とし、空気と水のきれいな所で自然の中より酵母菌を採取し、麹を手助けとして日数をかけて増殖します。酒種は簡便性に於いてはイーストには劣りますが、風味の点においては優れています。ただし自家製造のため、特別な環境・場所が必要であり、しかも酒種の管理は難しく、勘・コツ・経験が必要になります。
小麦粉は酒種あんぱんに最適な仕様に調合した小麦粉を製粉所に挽いてもらって使用しています。挽砕ごとに小麦粉の品質を確認してあんぱんの品質にブレが発生しないように取り組んでいます。 生地の発酵管理があんぱんの品質に影響を与えます。 酒種あんぱんの生地は温度は0.1℃、湿度は1%の精度で発酵状態を管理しています。職人は生地を触ると、その精度(0.1℃、1%の調整)で生地の状態を見極めて調整しています。
小豆は北海道の十勝周辺で採れた厳選した小豆を使用しています。
銀座木村家独特の豆煮の方法で炊き上げられたあんは独特の小豆の風味とコクがあります。あんを食べると糖度が高く甘く感じますが、あんぱんとして食べると上品な味わいになります。
酒種桜あんぱんのへそに埋める桜の花びらは一年間味が変わらないように梅酢で漬け込んだ後、一つ一つ手でつんで、塩に漬けて仕上げています。